ご挨拶
わが国の死因の約6割は、偏った食生活や睡眠不足、運動不足、喫煙、過剰なストレス、過剰な飲酒などの悪い生活習慣の積み重ねが原因とされる生活習慣病(がんや動脈硬化性疾患である心筋梗塞、脳梗塞など)です。生活習慣病は、今や健康長寿の最大の阻害要因となるだけでなく、国民医療費にも大きな影響を与えており、その予防が国全体の課題となっています。
しかし現状では、悪い生活習慣が重なって起こるメタボリックシンドローム(内臓脂肪の過剰な蓄積に高脂血症・高血糖・高血圧といった動脈硬化の危険因子を複数併せ持った状態)が強く疑われる人あるいはその予備軍は40歳以上に多く、男性で半数以上、女性も5人に1人という割合に達しているとされ、現代社会における生活習慣の乱れは深刻です。
生活習慣病を予防するには、まず、悪い生活習慣がなぜ健康を蝕み、どのような身体機能障害を引き起こすのかを良く理解し、悪習慣の一つ一つを排除する行動に繋げることが大切です。
予防のため強調したいもう一つのポイントは、生活習慣病の初期では多くの場合特別な自覚症状がないためセルフケアだけでは不十分で、健康診断を受け、その客観的なデータにより自覚症状では捉えきれない健康状態の変化を正しく把握することが必要だということです。
人間は25歳ころから一日一日老化し、身体には様々な変化が徐々に起きてきます。近年、老化細胞の蓄積で起こる慢性炎症が生活習慣病の発症要因になることが明らかになりました。気づきにくい老化による身体変化を知る意味でも健康診断を受けることが大切です。
健康診断の代表例として、法定健診(定期健康診断など)・生活習慣に着目した特定健康診査(特定健診あるいはメタボ健診)・特定保健指導に加え、任意健診である人間ドックが挙げられます。
これらの身体チェックの効果を高めるには、第一に、健康と思われる時期から定期的に健診を受けることが大切です。その理由は、検査データの時間的推移から身体の微妙な変化を検出し、疾患の予防や早期発見に繋げるためです。
第二に、要再検査や要精密検査のお知らせがありましたら「自分を支えてくれている諸臓器の訴えを聞く良いチャンス」と捉えて放置しないことが大切です。
例えば、便潜血検査が陽性で大腸がんが疑われても、精密検査(大腸内視鏡検査)を受けない人が30~40%いるとされています。しかし、便潜血検査で見つかる大腸がんの60~70%は早期がん(治療すれば100%に近い確率で完治する)ですから、放置せず積極的に精密検査を受けていただきたいです。放置して自覚症状で見つかる大腸がんの約80%は進行がんです。
健康管理はご本人だけの問題だけでなく、ご家族との日常を守る上で欠かせません。
当施設は、アクセスの良い身近な都市型健診機関として受診しやすい環境を整え、市民の皆様の健康維持・向上に貢献すべく、日々質の高い健診サービスのご提供に努めてまいりました。
2024年からは徒歩圏内(約5分)に系列の淀屋橋総合クリニックを開設し、二次検診による疾患の早期発見・治療、さらには密接な連携を持つ高度専門医療機関への素早いご紹介まで、シームレスなトータルヘルスケアが可能となりました。
今後は健診結果を「疾患の予防・予測」にどう活かせるのかを、お一人おひとりに合わせて具体的にご提案できるよう、さらに努力を重ねてまいります。
また、健康に関するご相談は、受診者様ご本人だけでなくご家族にも親身になって対応させていただくよう準備し、受診者様、ご家族、さらに職場の健康の継続的なトータルサポートができる総合健診機関に成長していきたいと考えております。
職員一同、ご活用をお待ちしております。
所長 白井 幹康
資格 | 日本医師会認定産業医 日本医師会認定健康スポーツ医 |
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会員 | 日本予防医学会理事、国際心臓研究学会日本部会評議員 日本脈管学会評議員、日本生理学会評議員 日本循環器学会会員、日本心脈管作動物質学会会員 国立循環器病研究センター名誉所員、日本総合健診医学会学術委員会委員 |